SEMINAR INTERVIEW
ゼミナール
インタビュー
SAKURAI SEMINAR
櫻井一宏
ゼミナール
准教授/櫻井 一宏
INTERVIEWEES’ PROFILES
※所属・学年は、
インタビュー時のものです。
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⼤賀 新之介 さん
経済学科
経済学科
経済学コース3年
東京都⽴板橋⾼等学校出⾝
櫻井一宏ゼミナールでの研究テーマを教えて下さい。
⼤賀さん
櫻井先⽣のご専⾨は、「環境経済学」や「環境政策」、「地域経済」なのですが、学⽣は、「経済に関すること」から⾃由にテーマを選び、2年⽣と3年⽣でグループを組んで、ゼミナール⼤会での発表に向けて論⽂を作成します。僕たちのグループは、「オタクが経済を回しているのは本当か?」というテーマで研究発表をしたのですが、他のグループでは、「近年の賃⾦上昇率の推移」や「電気⾃動⾞の普及」、「サブスクリプションサービスの浸透」など、さまざまなテーマで研究発表をしていました。論⽂作成にあたっては、データ分析の⼿法、とくに僕たちのグループでは、アンケート調査の⼿法を学ぶ必要がありましたが、まずは⾃分たちでインターネットや本などからそれらの⼿法を学び、わからない点については先⽣に質問して教えていただきました。また、論⽂がある程度まとまってきたところで、先⽣の前で発表し、アンケートの調査結果の集計⽅法について、いくつかのアドバイスをいただいて、それを元に、最終版に⾄るまで、粘り強く、何度も論⽂の修正を繰り返しました。
立正大学経済学部では、ゼミナールに所属する3年生のグループが、それぞれが興味を持った研究テーマについて、論文を作成・発表する「ゼミナール大会」が開催されており、ほとんどすべてのゼミナールが参加します。櫻井ゼミナールのように、2年生と3年生合同のグループで論文作成・研究発表するゼミナールもあります。
櫻井一宏ゼミナールに入ろうとしたきっかけを教えて下さい。
⼤賀さん
将来の選択肢の1つとして、地⽅公務員という仕事に興味があったので、櫻井先⽣のご専⾨の1つである「地域経済」、特に地⽅の市町村の地域産業振興策について学びたいと思い、櫻井ゼミを志望しました。それでも当初は、ゼミに⼊って知り合いが1⼈もいない、というのはとても不安だったので、他のゼミと迷っていたのですが、いくつかの授業を⼀緒に受けていた友達も、櫻井ゼミを志望していたため、⼀緒に応募して、2⼈とも合格することができました。
櫻井一宏先生はどんな先生ですか?
⼤賀さん
櫻井先⽣は、授業内でも授業外でも、温和な性格の先⽣で、提出期限を守らないなど基本的なことができていない学⽣にも、きつい⼝調で上から抑え付けるような⾔い⽅ではなく、丁寧に、提出期限を守らないと、将来社会に出たときにどのように困るのかについて説明して下さいます。学⽣を、筋の通った話をすればわかる⼤⼈として⾒て下さっているのだと感じます。
論⽂指導では、アンケート調査の⼿法に関して、アンケートをとった⼈の年齢・性別などの属性をもれなく記⼊すること、属性別にアンケート結果を⽐較することなどについて丁寧なアドバイスをいただきました。少し細かいなとも感じたのですが、昨今企業ではどんな意思決定においても、「エビデンス」が求められ、アンケートの調査結果は新商品開発などでは、「エビデンス」の代表格とも⾔えるものです。杜撰なやり⽅で⾏われたアンケートの調査結果は、間違った「エビデンス」を与え、その結果、誤った意思決定がなされて、企業に⼤きな損害をもたらす恐れがあるため、アンケート調査については、適切な知識を⾝につけ、⼿法に瑕疵がないかを常に考えながら、慎重に⾏わなければならない、ということを強調されていました。
ゼミの懇親会では、櫻井先⽣の席のまわりに学⽣が交代で座り、論⽂や、それぞれの将来について相談に乗っていただいています。次から次へのゼミ⽣が先⽣のまわりに集まってくる様⼦はとても印象的で、本当にゼミ⽣に慕われているなと感じました。また、ゼミの合宿では、地域経済について実地調査をしに地⽅に⾏くことがあったのですが、その地域の産業を⽀えていらっしゃる多くの⽅々と櫻井先⽣が談笑されている様⼦を⾒て、⼈とのつながりをとても⼤事にされている⽅なんだなと思いました。
ゼミナール大会で発表した論文の概要を教えて下さい。
⼤賀さん
「オタクが経済を回しているのは本当か?」というテーマで研究発表をしました。
アニメや漫画、アイドルに「推し」がいることは、⼗数年前には、ジャニーズファンを除けば、ほんの⼀部のマニアに限られており、彼らは⾃分たちが圧倒的なマイノリティであることを⾃覚し、⾃分に「推し」がいるという事実でさえ、なかなか明かそうとしませんでした。ところが今⽇では、「推し、燃ゆ」というタイトルの⼩説が芥川賞を受賞したり、「推しの⼦」の漫画・アニメが⼤ヒットしていることからもわかるように、若い世代を中⼼に、「推し」がいることの⽅が普通になってきており、会社では、30代から40代以上の管理職についている⽅たちが、部下と話を合わせるために、「推し」を無理⽮理にでも⾒つける、という話も聞かれるようになってきています。「推し」を応援する活動を「推し活」と⾔いますが、その中には、「推し」のグッズを購⼊したり、「推し」の出演するライブに参加するなど、お⾦のかかるものも数多くあります。そこで僕たちは、今やマジョリティとなった「推し」のいる⼈たちが、それぞれ、それなりのお⾦をかけて「推し活」をしているのだとすれば、⽇本経済へのインパクトは、とても⼤きなものになるのではないかと考え、このテーマを選びました。
論⽂作成にあたっては、論⽂を作成したグループのメンバーの、SNSでのフォロワーなどを対象に、Microsoft Formsを使って、アニメや漫画、アイドルの「推し」がいるか?や、どのような形で「推し活」をしているか?、「推し活」に年いくらくらいのお⾦を⽀出しているか?などについて、アンケート調査を実施しました。80名ほどから回答が得られ、なかには、地下アイドルのあるメンバーを推していて、「推し」の誕⽣⽇に20万円を払ってビルボード広告を出したという⽅もいましたが、その⽅を除けば、ほとんどの⼈の「推し活」での⽀出額は年間5万円程度、あるいはそれ以下でした。論⽂を作成したメンバーのフォロワーは20代前半の学⽣が多く、そのため、本来調査したかった⺟集団とは少しずれてはいるのですが、それでも当初の予想に反して、「推し活」による⽇本経済に対するインパクトはかなり⼩さいと⾔えるのではないかと思います。⼗数年前に⽐べ、「推し活」をする⼈の⼈⼝は⼤幅に増加したものの、増加した層の⼤半は、SNSでの「推し」のアカウントをこまめにチェックしたり、「推し」の出演しているテレビやラジオ、あるいはYouTubeチャンネルを視聴する形の、あまりお⾦のかからない「推し活」をしており、「推し活」による⽇本経済に対するインパクトは過去に⽐べて特段拡⼤しているわけではない、というのが、僕たちの論⽂の結論です。
最後に、櫻井一宏ゼミナールに入ってよかった!という点を教えて下さい。
⼤賀さん
もともと僕が櫻井ゼミを志望した理由が「地域経済」を学ぶことだったので、夏休みに⾏われるゼミ合宿で、地⽅に赴いて、そこでの主要産業とその産業が発展した歴史、さらには地域経済を発展させるために⾏われている様々な取り組みを学べたことは、⾃分にとってとても有意義だったと思います。例えば、昨年のゼミ合宿では、北海道の標茶町(しべちゃちょう)を訪問したのですが、標茶町は、昭和初期から始まった酪農が主要産業で、標茶町で⽣産された乳製品は特産品として全国的に広く知られている⼀⽅で、ラムサール条約にも登録されている⽇本最⼤の湿原である釧路湿原の全⾯積の65%を有し、観光業も盛んです。酪農と観光、どちらも標茶町にとっては重要な産業ですが、家畜の⼤量の排泄物が釧路湿原に流⼊し、環境破壊につながっているとして、⻑年問題になっていました。この問題を解決する取り組みとして、近年少しずつですが、家畜の排泄物をメタン発酵させてバイオガスを発⽣させ、それを燃焼させて電気や熱などのエネルギーを⽣産する、いわゆるバイオマス利活⽤が⾏われているそうです。バイオガス消化液と呼ばれるメタン発酵させた後の排泄物も、家畜のエサとなる牧草を⽣産するための肥料として利⽤され、釧路湿原への排泄物の流⼊はほとんど防⽌できているようです。こうした地⽅で起こっている様々な問題とそれを解決するための⼯夫を知ることができたことは、⾃分にとって⼤きな学びになりました。
また、櫻井ゼミは、学⽣の学びたいこと、研究したいことを、とことん追求できる⾃由な雰囲気がありますし、先⽣の温和な⼈柄に影響されてか、⼈間性の優れたゼミ⽣が多く、同期との横のつながりだけでなく、先輩・後輩との縦のつながりも強く、とても居心地がよいと感じています。さらに、真⾯⽬な⼈、⾃分を⾼めたいという意識の⾼い⼈がゼミ⽣に多いので、周りに影響されやすい僕も⾃然と将来を⾒据えて能動的な姿勢で学ぶことができており、とても環境に恵まれたなと思っています。
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