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2025.04.09
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「日経で学ぶビジネススキル・アクションラーニング」受講生座談会
経済学部では、「日経で学ぶビジネススキル・アクションラーニング」を開講しています。この講義では、日本経済新聞社で記者・デスク経験を持つ後藤先生にビジネススキルを指導していただき、実際に企業への取材をして、新聞を作成するという授業です。2023年度に受講してくれた学生から、「就活に非常に役立った」という嬉しい報告がありました。そこで3名の学生にどのような点が役に立ったかというテーマで、後藤先生を囲んで座談会形式でお話しいただきました。これからこの授業の履修を考えている学生にとっても役立つ内容だと思いますので、webページで公開します。
後藤:1期生の皆さんが一生懸命に取り組んでくださったおかげで、本授業も2025年4月に3年目を迎えることができます。2期生の新聞はテーマがインバウンド、アパレル、SDGsとウェルビーイングなど、多岐にわたりましたが、それらもオープンキャンパスで公開するため手直しを加えている段階です。本日は、本授業での学び、皆様の努力や、そしてそれらがどのように就職活動に役立ったかなど、教えていただければと思います。OB・OGによる本授業の活用方法を、未来の後輩に伝えたいというのが狙いです。
【授業を履修した理由】
後藤:では、最初に、この授業を履修された理由をお聞かせください。まずKさんから。Kさんはアクションラーニングになる前の、日経新聞を読みながらいろいろと文章を書いたり、ガクチカを添削したりする、前身の講座を受けていましたね?あれは3年生?
Kさん:いえ、2年生の時に履修していました。
後藤:どんな理由で履修しましたか?
Kさん:大学で、実際に動いて何かをやる、いわゆるアクションラーニングをたくさんやりたいと思っていました。あとは、正直ベースで申し上げると、日経電子版を就職活動で利用したかったからです。
後藤:それはいいことですね。本授業を履修すると、4月から半年間は無料で購読できますからね。電子版は就職活動に関する記事も豊富に載っているので、特に近年、就職活動が3年生スタートになってしまうと、2年生から読む癖をつけることは重要ですよね。
Kさん:はい、電子版をフル活用させていただきました。
後藤:就職活動の早期化はどんどん進んでいるので、電子版を活用し、必要な情報を手に入れる機会を得られるというのは受講のきっかけになりそうですね。Kさんはグループのリーダーとして素晴らしい活躍を見せてくれました。授業では本当の編集会議さながら、各グループにおいてキャップ・サブキャップという役職を決めて新聞を作っていきますが、キャップとしてグループをまとめながら新聞作成ソフトを駆使して紙面を完成させていく。ほかのお2人にも言えることですが、この作業は大変だったかと思います。Oさんはいかがですか?
Oさん:日経のネームバリューに惹かれたのはあります。立正大学が日経の方と縁があるというのも知らなかったので、興味が湧きました。あとは、Kさんと同じ理由ですが、アクションラーニングができる授業を取りたかったです。フィールドワークなど、大学生のうちにしかできないことを経験したかったので。座学だけだともったいない気持ちが強かったです。
後藤:自ら学びを得ていくのが楽しいというのは良い動機ですね。こちらの意図を汲んでいただいたわけで。Sさんはいかがですか?
Sさん:友達に誘われて、この授業の存在を知りました。高校生までアクションラーニングに親しみがなかったので、素直にやってみたいと感じました。
【授業全体の印象。楽しかったこと、学びになったこと】
後藤:授業では、新聞作成というゴールを達成するために、いくつものステップを踏んだかと思います。最初は新聞を読むことに慣れるため、経済用語を引いてみたり、国際ニュースを要約したりしました。その後、グループに分かれて新聞のテーマを決め、取材する企業を定め、実際にアポ入れをしてインタビューを重ねました。終盤は新聞作成ソフトを駆使しながら、本物さながらの新聞を共同制作していきましたね。授業全体を通しての感想をお聞かせいただけますか?
Kさん:新聞作成に向け、段階を追って解説してくださったので、理解が追い付かないということがなく、アクションラーニングがやりやすかったです。特に学生は、新聞とはどのようなものか、馴染みがない人が多いと思います。前半に記事を要約する授業があったおかげで、新聞とはどのようなもので何がどう書かれてあるのか、新聞そのものに対する理解が深まりましたし、何より自分が執筆する際のポイントが見えてきました。
Kさん
後藤:新聞作成に至るまでの、テーマ決めや企業取材などのプロセスについてはいかがですか?
Kさん:そうですね、やはり楽ではなかったですね。
後藤:どのグループも、誰かがリーダーにならないとバラバラになってしまう危うさみたいなものはありましたが、Kさんが毎回きちんと出席されていて、その日にやらないといけないことを、きちんとタブレットを持って指示しながら取り組んでくれていたから、Kさんのグループ「ムーブメント」はチームとしてまとまりがよく、各回のタスクをこなせていた印象です。そのあたり、1人で仕事を背負い込んでしまったことはありましたか?
Kさん:いえ、グループメンバーが想像以上に動いてくれました。それぞれ遅滞なく、担当記事を定めた期日までに提出してくれたので、それの粒感というか規模感を合わせたり、入れ替えたりするくらいのことはやりました。
後藤:本当にキャップと編集長の役割をこなされていたのですね。そういう仕事の新鮮さはありましたか?
Kさん:ありましたね。やっぱり、人の書いた文章を見て直すというのは学生のやることではなく、先生がやることなので、これ読みやすいかなとか、これとこれ並べたときにちょっと被っているかな、といった作業が楽しかったです。添削の視点を持てたのは、就職活動で自分自身がESを書くときに大いに役立ちましたね。自己添削の意識が芽生えて、できるようになったので。
後藤:「読み手ファースト」の文章を書く授業もありましたが、主観ではなく読み手の目線で文章を添削する習慣が身についたということですね、よかった。Oさんのところはテーマも、受講者のバックグラウンドも幅広かったですよね。外国人留学生もいました。どのようにグループをまとめようか、工夫された点も多かったと思います。グループ名も「クムニュン(※韓国語で「金融」)」ですが、金融と言っても幅広い中で、多種多彩な記事を執筆されていましたね。授業全体を通して、何が最も学びになりましたか?
Oさん:企業取材・執筆活動はもちろんですが、並行してガクチカを添削いただけたことが、就職活動を控えている身としては最も学びになりました。2年生はまだ「就活って何?」という空気感で、ガクチカを書いたことがない人が大半です。私も本授業ではじめてガクチカを書きましたが、人事に響く文章のポイントなどが非常にためになりました。
Oさん
後藤:ガクチカの添削を受けたときは、どのような学びがありましたか?
Oさん:とても印象的だったのは、「~だったり、~です」が誤りで、「~たり」を連続させなければならないということですね。後藤さんに添削していただくまで、そうしたルールを知りませんでした。
後藤:動作を連続させるときは「~たり」を重ねないといけないことを知らない人は多いです。ほかにも、ひらがなで書けばよいものをわざわざ漢字で書く人もいますね。常用漢字の使い方や、誰が読んでも分かるような文章に仕上げましょうといった新聞作成のコツは、就職活動でも、人事の方にとってわかりやすく、内容や人物像が頭にスッと入ってくるESの作成に活きたかもしれません。
Oさん:「~をしていただく」も、「頂く」という漢字ではなくひらがなで書くことを教わりました。みんな頂、頂上に登ってしまう。(一同:笑)
後藤:無理やり漢字変換することで、読み手が違和感を抱いてしまうと、せっかくの内容が頭に入ってこない。
Oさん:すごく助かった部分ではありましたね。
後藤:新聞のテーマ選びについてもお伺いします。個性的なメンバーを、Oさんがリーダーシップをとってまとめていたように見えたけれど、やってみていかがでしたか?
Oさん:正直、大変でした。意欲はあるけど積極性がないメンバーの積極性を引き出すことに苦労しましたね。
後藤:私も長年立正大学さんで授業をさせてもらっていますが、そういう傾向の学生さんは確かに多い印象があります。授業の参加率もまばらだったりするから、まとめにくい部分もあったかと思いますが、良いグループにしようと努力しているところが伝わってきました。
Oさん:ありがとうございます。
後藤:Sさんのグループ「retail」も、企業取材のアポイントメントが入らないのではといった不安な時期もあったかと思います。まず、授業全体の感想として、アクションラーニングは初めて経験すると言われていましたが、当初の期待と比べてどうでしたか?
Sさん:最初の数回のグループワークはメンバーをシャッフルしていたけれど、途中からグループが固定になって、同じメンバーで新聞作りをしたからやりやすくなりました。
Sさん
後藤:メンバーが決まって、じゃあ新聞を作ろうとなったわけだけれど、それは難しくなかったですか?
Sさん:だいぶ難しかったです。テーマや新聞のフォーマットについて、案を出してもなかなかまとまらない状態が続きました。
後藤:Sさんのところは、夏休み前後もたくさんメールをくれた印象があります。どうしたらいいでしょう?とキャップの悩みを吐露してくれましたね。テーマが小売業とのことで、メンバーがそれぞれ店舗に赴いて取材したり、写真使用の許可を得たり、奔走していた印象です。夏休み直後、急に取材の件数が増えたと感じていますが、そのあたりいかがですか?
Sさん:夏休み中、数社にアポ取りの電話をして、全然ダメで、もっと数を打たなければと思いました。
後藤:1社、とても協力的なところがありましたよね。直接店舗で取材ができて、写真も撮らせてもらえた企業。あそこに取材ができたことで、新聞全体の方向性が見えたので、あれがブレイクスルーになった気がします。授業全体の取り組みやすさとしてはいかがでしたか?
Sさん:正直、荷は重かったかと思います。(一同:笑)
【大変だったことと、それをどう乗り越えたか】
後藤:いやあ、それでもオープンキャンパスに掲示できるクオリティに持っていけたのは、Sさんの努力あってのことだと思います。ただ、やはり聞いていると、三者三様に苦労話がありそうですね。お一人ずつお伺いできればと思います。何が最も大変でしたか?たとえばKさんは、地方の取り組みを取材されたのでオンライン取材が中心だったかと思いますが、苦労されたことはありますか?
Kさん:東海地方の市役所へのオンライン取材をしましたが、とても温かく迎えてくださいましたね。ただ、先方がオンライン会議の日程を忘れていて、30分後にご連絡したら慌ててオンライン会議にご入室されるというハプニングがありました。苦労でいうと、やはりグループメンバーをどうまとめるかに悩みました。ゼミなどの活動では方向性が近い人が集まりますが、今回の授業ではメンバーの熱量が人によって違っていたので…。ただ、時間が経つにつれ、メンバーの性格や得手不得手、ある程度の傾向が見えてくるので、それに合わせて仕事を振ることができるようになってくると、少しずつ楽になってきましたね。
後藤:Kさんは毎回「ここまでやろう」というゴールを明確に定めて進めていたような印象があります。
Kさん:期限、クオリティ、大体の業務を具体的に言うと、メンバーからのレスポンスが早かったです。
後藤:ただ「やって」と言うだけでは人は動かない、という学びがあったかもしれないですね。
Kさん:あとは、新聞の完成形について考えているイメージが人によって全く違うのだろうな、ということも徐々に分かってきました。自分の枠を埋めるのに何文字必要だという認識がずれているので、そこは「何文字だとこれくらいしか埋まらないから、どうにかしてもう200文字増やしてくれ」といったお願いをしながら進めました。
後藤:まさに新聞の編集長ですね。埋まんないよ、埋めてよ、ってあちらこちらで聞きますからね。
Kさん:ただ、具体的に指示を出しすぎてしまうと、メンバー全員が力を合わせて作った新聞にならないのではないかといったジレンマはありました。
後藤:リーダーのカラーが出てしまう可能性もありますし、最後までキャップに言われるまま作りましたというメンバーがいてもおかしくないですからね。
Kさん:ただ後半は、自分がそれなりに動いていたから、メンバーも気を遣ってくれて、私これやりますよと主体的に動いてくれるようになったと感じました。
後藤:グループとして、尻上がりにまとまりが出たと思います。Kさんのところもそうですが、新聞の形になるのが早かったグループは、講師が様子を確認する必要がなく、自分たちで知らない間に進めていました。ちなみに、どうしてグループ名は「ムーブメント」になったの?
Kさん:思いつかなくて適当に…(一同:笑)
後藤:アクションラーニングをきちんと実践いただきありがとうございました。Oさんは鉄道会社や商店街に取材していましたよね。金融という大テーマから、キャッシュレス決済に絞っていったことで、取材・執筆がしやすくなったかと思います。何が最も大変でしたか?
Oさん:アポ取りに最も苦労しました。せっかく企業に取材ができる貴重な機会なので、誰もが知っているような有名企業に取材したい!という欲がありましたが、けんもほろろでしたね。キャッシュレス決済というテーマに絞っていたので、まずはクレジットカード系の大手企業に絞っていましたが、アポ依頼メールを送っても送っても返信が来ない。他のグループが取材を進めているなか、遅れているのが顕著で、新聞が作れないかもしれないと焦りを抱きました。
後藤:鉄道会社の取材も、10月にようやく実行できていましたからね。けれど、夏休み後に一気に巻き返しましたね。
Oさん:対面、オンライン、メール取材など、多種多様な方法を駆使したことで取材先の数を増やせました。
後藤:商店街はメンバー全員で現地まで赴いていましたよね。その写真も紙面に載せていて、取材の様子が伝わってきてよかったと思います。
Oさん:アポ取りがうまくいかないという壁にぶつかったことで、我々が企業を選ぶ立場ではなくて、企業に選んでいただく立場にならないという思考の転換ができました。もっと数を打たなくてはならない、また、この学生の取材なら受けたいと思われるように工夫しなくてはならないという危機意識の芽生えですね。(一同:おお~!)
それからは、アポ取りメールもテンプレートの文章を送るのではなく、その企業に対する熱意が伝わるようなプラスアルファの情報を含めるなど、工夫を凝らしました。その結果、好意的な返信をいただけることが増えてきて、取材を受けてくださる企業も徐々に増えてきました。
後藤:選んでもらう立場になるという意識は、就職活動にも繋がりましたか?
Oさん:はい。また、アポが増えるごとに自分に対する自信もついてきました。その自信は、確実に就職活動に繋がりましたね。
後藤:Sさんは、荷が重いという発言がありましたけど、どのあたりが最も大変でしたか?
Sさん:私もOさんと同じく、アポ取りですね。私のグループは、周りのメンバーが「怖くて電話できない」と怖気づいていました。
後藤:お問い合わせフォームに送って、返信が来ないと言っていたので、私が直接電話するようにアドバイスしました。
Sさん:私も電話は好きじゃなかったので、正直、いやだなという気持ちはありました。何を話せばよいか分からないし、敬語の使い方も不安だったので。「知らない怖さ」みたいなものがありましたね。
後藤:ビジネスパーソンと対峙する機会が、それまであまりなかったわけですからね。ただ、結果として、有名なスーパーが複数取材に応えてくれたわけですが、そこまでは大変だったのではないですか?
Sさん:とても大変でしたが、その経験があったから、割り切って行動を起こせました。多い時は1日10社電話したので、結果として取材先を増やすことができました。
後藤:社会の冷たい風を浴びたわけですね。それはそれで良い経験になったのではないでしょうか。営業など、場合によっては企業に飛び込まないといけないときもありますよね。
Sさん:そういう意味では、私は割とシャイな性格だったのですが、授業を通して積極性が増したように感じます。前向きに、少し図々しくなりました。
後藤:それはとても良い変化かもしれないですね。立正大学の学生さんを見ていると、モラリストではありますが、一方で若干おとなしい、つつましい性格の方が多いように感じます。そういう意味では、一定の図々しさは必要かもしれませんね。
日経新聞 後藤先生
【企業取材で意識したこと、印象に残ったこと】
後藤:さて、いよいよ企業取材という段階で、意識したこと、印象に残ったことはありますか?
Kさん:意識したことは、後藤さんが授業でおっしゃっていた「調べればわかることを聞かない」ことですね。とにかく業界・会社について様々な方向から調べて、それなりの質問を充分用意した状態で取材に臨むように心がけていました。
後藤:素晴らしい。
Kさん:ところが、最初に先方が資料を見せてくださったのですが、事前に送った質問がそこで既にすべて回答されていて(一同:笑)、「うわぁ~残りの時間どうしたらいいんだよ…」となりました。バチバチの広報の方が出てきてくださって「とりあえず事業の説明から入りますね」と、10分ほど説明してくださったのですが、そこで知りたかったことが全てカバーされてしまいました。
後藤:広報の方は外部に向かって自社を説明するのがお仕事ですからね。学生新聞に求められている情報は何なのか熟考され、スムーズに取材が進むよう、段取りよく準備してくださったのですね。
Kさん:プロの方を前にし、我々の素人感が出てしまいました。1時間のアポイントメントだったのですが、雑談などで一生懸命話を広げ、結局40分で終わりました。
後藤:就職活動の面接において、会話の間の取り方などが学べたのではないでしょうか。
Kさん:そうですね。他に印象的だったことは、1つの場所に取材すると、そこから数珠繋ぎで様々な企業やキーパーソンに繋げていただいたことですね。想定外のお話が聞けたりして、大きな収穫でした。
後藤:社会人になると、お客さんにお客さんを繋いでもらうこともあるかもしれません。そういう意味では、そうした経験もためになったのかもしれませんね。
Oさん:私にとって印象的だったのは、グループメンバーで楽しく取材ができたことですね。
後藤:どのようなことに注意しながら出かけていましたか?
Oさん:プラスの印象を持っていただけるように、全員、取材時はニコニコ笑顔でいるよう心がけました。
後藤:そこでしか聞けないニュースをいっぱい出してもらおうと。
Oさん:もしかしたらそこに入社するかもしれないという可能性を考えたときに、良い印象を持っていただいて悪いことはないので。みんな笑顔で、あいづちを打ちながら、学生らしく積極的にいこうという話はしていましたね。おかげさまで、どの企業もとても温かく迎え入れてくださいました。
後藤:Oさんのグループ「クムニュン」の新聞を読んでいて、内容がしっかりしていてよく書けているなと感じていました。それはおそらく、良い取材ができたからだと思います。話を10聞いて、できあがった記事に反映するのは2で良いですが、2しか聞いていないのに10の記事を書くことはできません。商店街の記事も、たくさん質問をして、話を引き出したからこそ、あとはそれを整理するだけで、自ずとストーリーラインが見えてきたことが伝わってきました。そして、話を引き出すには、やはり相手に良い印象を持っていただくことが大切ですよね。そういう意味では、Oさんの作戦は大成功でした。
Oさん:ありがとうございます。お話を伺いながら出てきた疑問を忘れないよう、とにかくたくさんメモに残しました。
後藤:Kさんは、先方が事前質問に対する完璧で穴のない回答を既に用意されていたから、話を深掘りすることに苦労したと言っていたけれど、Oさんは追い質問をしたわけですね。
Oさん:はい、私のグループもKさんと同様に、先方に事前質問を送ると、取材前にメールでご回答いただくことが多かったので、取材時に「聞くことがない」状態に陥りやすかったです。そこは、回答を読んでさらに疑問に思ったことを何個でも列挙し、当日追い質問をすることで乗り越えました。さらに、質問以外に担当者が話してくださったこと全てに対しても、深掘りしていきました。疑問点を完璧に潰した状態で帰路につくことを毎回のゴールにしていました。
後藤:新人記者も、想定質問をいくつも用意して取材に臨みますが、すぐに答えられてしまいます。けれど、当日は相手がいるので、言葉のキャッチボールが発生し、初めて聞くことだって出てきます。わかったふりをしてはいけない、もう一度聞いてみようと思って深掘りすると、10の質問が20、30になります。それができていたのは素晴らしいですね。
Sさん:私はスーパーの取材が最も印象的でした。店舗で直接取材をさせていただいたのですが、実際に陳列されている商品を見て回りながら質問ができたことで、具体的な情報を聞き出すことができた気がします。
後藤:ゼリーの話など、現場に行った人しか書けないようなエピソードが多く含まれていましたね。
Sさん:私たちが現場を理解できるようご協力くださった広報の方のおかげです。
後藤:Sさんが取材した大手スーパーは、最近オリジナルカードを出したりもしていたので、引き出せるニュースは多かったのではないでしょうか。取材で難しかった、苦労したことはありますか?
Sさん:おふたりと似ていますが、途中で会話が止まりそうになると、どのように繋げばよいか慌てました。
後藤:相手の言葉に即応し、次に聞くことを瞬時に考えなければならないですからね。この先どんなお仕事をされたとしても、社内・社外の方との会話の中で、即応しなければならない場面は訪れると思いますので、良い練習になってよかったです。
【本授業が就職活動にどう活きたか】
後藤:では、本授業が就職活動をするうえで参考になった部分などあれば教えてください。
Kさん:まず、企業研究の仕方がとても勉強になりました。いざ気になる企業を調べようとなっても、どうやって調べるの?という壁にぶつかり、とりあえず名前を検索してみるかという思考になりやすいかと思います。本授業で取材のために企業を調べようとなったとき、業界を知らなければ企業について知ることはできないので、まずはそうした周辺情報を調べることが大切であることに気づけたのは大きな学びでした。また、情報は日々動いているため、取材当日の朝、その企業について新しいニュースが出ていることもありました。そのため、毎日ニュースが更新されていないか調べる癖がつきましたね。
後藤:授業でどのテーマにしよう、どの企業を調べようと考える中で、電子版やホームページを使って情報収集した経験が就職活動にも活きたと言えますね。自分がなぜその企業に興味を抱いて、苦労してまで取材し、記事を書こうとしているのか、情報を通して分析できたことが、志望先を固めたり、ES・面接対策をしたりするうえで役立つのですね。
Kさん:あとは、面接で困るのが逆質問だと思います。何を聞けばいいのか分からないので、当たり障りのないことを聞いてもいいけれど、採用担当の方に印象付けるには、企業について関心があり、本気で志望していることを質問から悟ってもらいたいですよね。本授業で多くの企業に取材するにあたり、どういう質問をすれば回答を引き出せるのか熟考した経験が、逆質問に活きました。私の最終面接は社長面接でしたが、そこで企業の方針や戦略に関する質問ができ、好印象を残せたことが内定に繋がりました。これは本授業を受けなければ出なかった質問だったと確信しています。
Oさん:私は、本授業を通して、自分はルーティンワークよりも、自ら進んで仕事を獲っていく方が楽しいと思うような、ベンチャー志向を持っているということに気付けました。また、積極的にアポを取って取材先を獲得していったおかげで、就職活動でも主体性を発揮できたと思います。例えば、会社説明会終了後、人事の方に聞かれるよりも先に「座談会を組んでほしい」と依頼したり、イベントでは必ず一番初めに手を挙げたりして、誰よりも熱意があることをアピールしました。また、人事の方だけでなく、イベントに登壇された方すべてのお名前を確実に覚えました。そうすると、面接などでその方にお会いした際、「〇○さんですよね?」と聞くと、「どうして覚えているのですか?」と驚いていただける。ちょっとしたことかもしれませんが、そのような積み重ねで好印象を持っていただけるよう心がけました。
後藤:それは、Oさんにぜひ入社していただきたいって思ってしまいますね。これは立派な営業になりますね。戦略も素晴らしいし、戦術もある。もともと人が好きだったのですか?
Oさん:そうですね。アルバイトも接客業が中心でした。その人のニーズにあった提案をすることが得意だと思います。
後藤:そういう意味では、授業の内容がOさんの感性に合っていたのですね。業種も人材関連のお仕事なので、人好きな性格が生きると思います。
Oさん:もともとあったポテンシャルをこの授業でブーストしました。(一同:笑)おかげさまで、第一志望から内定をいただけて、納得できる就活になりました。(一同:おお~!)
後藤:「ポテンシャルをこの授業でブーストする」というのはこの座談会の見出しに入れないといけないですね。Sさんは、授業と就職活動がマッチングしたところはありますか?
Sさん:それこそ、自己PRに授業のことを書かせていただきました。
後藤:確かに、企業取材や記事執筆など、面接で話題が振りやすい授業ですよね。
Sさん:面接のときに取材した経験をお話すると、よくその企業が取材OKしたねって言ってもらえたりして。(一同:笑)あとは、自分が聞いた生の声や実際の情報の持つ価値に気づけたので、就職活動では志望先の方を積極的に訪問し、直接お話を伺いました。それを面接で「〇○さんから伺ったのですが」と言うことで、志望度の高さをアピールできたことも大きかったです。
後藤:取材を通して身につけた、恥ずかしがらずに行動してチャンスを掴む力を就職活動の場で活かしたわけですね。
Sさん:両親も、図々しくしなさいと私の背中を押してくれました。
後藤:それは授業をやった甲斐がありました。
【授業の改善点、未来の後輩にアドバイス】
後藤:私が想像していた以上に、本授業を幅広くご活用いただいていたことがわかり、とても嬉しく思います。最後に、これから授業を受けようかなと考えている人たちへのアドバイスでも、我々への注文でも良いので、今後の参考に、忌憚のないご意見をお願いします。
Kさん:そうですね。私が本授業を勧める1つの理由は、やはり新聞を読む癖がつくことだと思います。私たちの世代は、ニュースはネットで検索すれば良いと思っている方がとても多いですが、日経電子版は桁違いに便利です。情報の質ももちろん高いですが、情報収集を楽しい、もっとしたいと思える機能が充実していました。たとえば、気になるテーマのタブを登録したら通知が来るので、それを追い続けられたり、紙面をタブレットで確認できるので、情報の大小が一目瞭然だったり。私は履修終了後も、個人的に電子版を購読しています。そのため、注文としては、日経電子版の使用期間が4月~11月の半期だったので、未来の後輩にはもう半期用意してあげてほしいです。(一同:笑)
後藤:それは慶田先生に言っていただいて。(慶田先生:検討します)せっかく大学が機会を提供してくださっているので、Kさんのように活かしていただく人が増えればと思います。Kさんはなんと8月に、31日間、毎日アクセスしていますよね。使い倒してくれました。
Kさん:ありがとうございます。あとは、就職活動は早くやれば早く終わるなど有利に働く部分があるので、2年生のうちからそれを意識せざるを得ない環境に入れることで、よいスタートダッシュが切れるというのも、本授業のおすすめポイントですね。
後藤:ガクチカは書いてみてどうでしたか?
Kさん:私は2年生の時に、学部主催の就職支援セミナーに参加し、そこでES自体は書いたことがありました。ESを添削してもらう経験は多いほうが良いので、本授業で2年生のうちにESを書いて、それをプロの方に見ていただく経験は大きいと思います。いざ書いてみると、書けるネタが全然ないなと思うかもしれませんが、就活スイッチが入るのは早い方が良いです。
Oさん:私はKさんと逆で、2年生で本授業を履修した後、3年生で学部主催の就職支援セミナーを受けました。セミナーでは成果発表会がありましたが、本授業で取材活動や記事の進捗を発表する機会が多かったおかげでプレゼンに慣れていたこともあり、結果として私の班が最優秀グループに選ばれました。自己分析も、志望先や競合他社の研究もできる、とても有意義な授業ですので、就職活動を真面目に頑張って納得いくところに入社したい!という人にぜひ受けていただきたいです。
Sさん:私は、友達に誘われるがまま、何も知らずに履修したからこそ、楽とか楽じゃないとか考える暇もなかったです。(一同:笑)
後藤:別に「地獄の特訓」を受けてもらったわけではないですけどね(笑)
Sさん:企業取材を断られ続けた時はしんどかったですが、途中で割り切れるようになってからは、比較的楽な気持ちで取り組めました。粘り強くアポを入れ続けた経験を活かして、実際の就職活動でも、関心のある全ての企業に対して等しい熱意でアプローチできました。それが結果として複数内定に繋がったので、とてもよかったですし、就職活動に前向きな学生におすすめしたいと思います。
後藤:皆様の声を次年度の授業に活かしていきたいです。社会に出たとき「これ、授業で経験した」といったデジャブがあれば嬉しいなと思います。
3人とも、納得できる内定を獲得できたとのこと、本当におめでとうございます。入社するまで学生ですので、最後まで油断せず、気を引き締めて、残りの学生生活を楽しんでください。本日はお忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。
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